変形性股関節症の考察と改善方法
変形性股関節症の考察
変形性股関節症は、文字通り股関節が何らかの原因で変形していく疾患である。遺伝的要因が強く、産まれ持って骨盤にある股関節の骨頭が嵌まる部分の臼蓋の一部(屋根)が形成しない臼蓋形成不全を伴っていることが多い。問診すると家族にも臼蓋形成不全や変形性股関節症の既往歴が存在する事が多い。たまにフルマラソンレベルのマラソンをされたり、山登りが趣味の方にもみられる。これは極度の使い過ぎで、軟骨が擦り減って、関節の接触が強くなって変形に移行していく事が考えられる。
しかしながら、臨床をしていると関節の変形=痛みではないという事が分ってくる。レントゲンやMRI上は強い変形があるのに痛みを感じない患者様も多い。逆に変形が無いのに股関節の痛みが強い方もいる訳だ。
確かに、軟骨が擦り減り、変形による骨膜反応などでの痛みの反応がある方はいると思うが、むしろ痛みの原因は付随している軟部組織によるものが多いと考えている。ですので、関節の変形に伴って痛みが出てくるというより、変形に伴って、軟部組織の起始停止の変化、関節包や靭帯の癒着など組織の有り様が変化していってしまった方が、痛みを伴っていることが多いように思う。
それでは、更に変形性股関節症の考察を進めて行きましょう。
変形性股関節症の主な原因
- 臼蓋形成不全を伴った遺伝的要因(約90%)
- マラソンや山登りなどの過度な負担
- 骨盤の歪みによる接地の不具合
- 関節保護ホルモンの低下
- 下肢の脚長差
- 循環不全(壊死)
- 体重の超過
変形性股関節が及ぼす身体症状
- 股関節痛
- 歩行不全
- 腰痛
- 可動域制限
- 不眠
- ぎっくり腰
- 長時間座れない、立てない

変形性股関節症に関与する主要組織
関節組織
- 股関節
- 仙腸関節
- 膝関節
- 腰椎
- 足関節
筋肉組織と神経組織
- 大腰筋(腰神経叢の枝L1~L3) 作用・股関節の屈曲と外旋
- 小腰筋(腰神経叢の枝L1) 作用・股関節の屈曲と外旋
- 腸骨筋(腰神経叢の枝L2~L4) 作用・股関節の屈曲と外旋
- 深層外旋6筋(仙骨神経叢、坐骨神経、閉鎖神経) 作用・股関節の外旋
- 大殿筋(下殿神経L4~S2) 作用・股関節の伸展と外旋
- 中殿筋(上殿神経L4~S1) 作用・股関節の外転
- 小殿筋(上殿神経L4~S1) 作用・股関節の外転と内旋
- 大腿筋膜張筋(上殿神経) 作用・股関節の屈曲外転、膝関節の伸展
- 大腿直筋(大腿神経L2~L4) 作用・股関節の屈曲、膝関節の伸展
- 内転筋群(閉鎖神経L2~L4) 作用・股関節の内転(屈曲、外旋)
- ハムストリング(脛骨神経等L4~S2) 作用・股関節の伸展、膝関節の屈曲
変形性股関節症の痛みには、このように多くの組織が関与しています。変形が先天的ものだからといって、痛みを取る事が出来ないという事ではありません。
上記に示したような神経系、軟部組織を鑑別し治療を進める事で大きく改善する事が多いです。特に股関節の可動域を拡げていく事が重要だと考えております。骨盤周りの筋肉の強化によっても、痛みを減らす事が可能です。私はパーソナルトレーナーとしても活動しておりますので、活動の低下した筋肉をトレーニングにより活性化する指導も得意としておりますのでお任せください!
変形性股関節症への改善治療
問診の重要性
まず問診において、症状を細かく把握し、どのような検査が必要かどこらへんに原因がありそうか推察していきます。問診で多くのことが分かってきますので、ご自身で関係ないと思われることも気兼ねなくお話し下さい。
股関節で当院に来られる患者様で一番多いのは、変形性股関節症と診断された患者様です。
鑑別診断の重要性
これまで申し上げてきた通り、股関節の変形は、遺伝的な要素が強く臼蓋形成不全に伴って起こることが多いです。
しかしながら、痛みと変形の誤差というものも大きく、変形が強くても痛みを感じない方も多くいますし、仮に痛みがあった場合でも、周りの組織の問題で起きていることも多くあります。
山縣カイロプラクティック院では、下記に示すように様々な軟部組織に対する治療法を数多く習得しておりますので、多くの患者様の改善に寄与出来ると考えております。
軟骨がすり減って痛みがある場合には、運動や治療によって軟骨が修復していくことの他に生活の質を上げるためには、可動性がしっかりと確保されていくことが大切だと思います。このような可動性を取り戻す治療はカイロプラクティックの得意としている所ですので、痛みは変形しているせいだからしょうがないと諦めて、痛み止めや、手術へと進んでいく前にカイロプラクティックでお役に立てることがあるのではないかと思います。
以下に、股関節の疾患における検査の概要、施術の一例などを列挙いたします。しかしながら、皆様一人ひとりの状態が違いますので、すべての方にこのような検査、施術を行うわけではございません。あくまでも一例です。

股関節が重力に対して、どのような反応をするのかチェックしています。
トレンデレンブルグ徴候と呼ばれる検査で、症状のある方の脚で片脚立位を行った際に、姿勢を維持できずに健常な側の骨盤が下がってしまうかどうかを診ています。
下がってしまった場合は、お尻の筋肉の1つの中殿筋の筋力低下が疑われます。この場合は日常生活での転倒のリスクが高まりますので、痛みの除去と共に筋力トレーニングの指導も行います。

股関節の動きのチェックをしています。
変形がある場合、股関節の骨頭の形によって制限のある方向が違ってきます。写真の検査の場合は、右股関節の内旋制限が疑われます。
当然、各種筋肉の拘縮によっても制限されるものですが、関節の制限なのか軟部組織にの制限なのかは、制限の最終領域での感覚で判断できます。

上記の検査とは別のタイプの股関節の可動性の検査です。股関節の屈曲での痛みの有無や、さらに内外旋を行うことで、何処に動きの制限があるのか、痛みがどこで出るか、どの軟部組織が痛むのかなど動かしながら細かく確認していきます。このまま治療に進むことも可能ですし、通常はそのように進める事が多いです。

股関節への長軸伸延の施術です。
微細な牽引をかけることで、股関節の圧迫を取る事が出来ますし、周りの組織を緩めることも出来ます。
組織が緩む場所、角度を感覚で見極めないとなりませんので、術者の感覚が優れていないと出来ないテクニックです。見よう見まねでおこなっても効果は得られません。凄く効果のあるテクニックです。

腸腰筋や大腿直筋、大腿神経のソケイ部での癒着や関節包などの癒着を取り除き、可動性を取り戻すための調整です。股関節の疾患のある方はここが凄く硬くなり問題がある方が多いのですが、繊細な場所ですので、血管などにも注意しながら行います。これも効果の高い治療になります。

腸腰筋が過緊張すると股関節に対して、屈曲外旋外転のテンションを高めてしまいますし、可動域の制限にも関与しますので、調整が重要です。
触診で硬結を見つけ出し、虚血圧迫法や、少し指先でストレッチをかけたりしてテンションを緩めていきます。股関節の疾患には非常に重要な部位です。

股関節の痛みなどで、あまり動かないでいると関節と包んでいる関節包や臀部筋が硬くなり癒着してしまいます。そうなると可動性が極端に落ちて行ってしまします。その状態を緩和するために拇指を使い、フリクションマッサージを行い癒着を取り除きます。これは腱などに行うものですが、臀部の筋肉自体にもニモテクニック等を用いて癒着を取り除いていきます。

ニョロニョロも見守っています。
変形性股関節症の臨床報告は変形性股関節症の改善治療日記をご覧ください。
・プロバレリーナの臼蓋形成不全に起因する股関節の痛みと外旋制限の改善治療日記
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