寝違えの考察と改善方法
朝起きた時に、首に痛みが走り、動かすことが出来ない、可動域が減少しているなど、皆様も一度は経験したことがあるかと思います。
これを一般的には寝違えと総称します。基本的に枕の高さが合わない、急な寝返りで筋肉を損傷してしまったなど、危険な疾患という事は少なく、原因となる組織もはっきりしてはいますが、何度も繰り返す、長期にわたり症状が続くようであれば、何か他の原因が隠れているかも知れません。
寝違えを考察し、改善方法を考えていきたいと思います。
寝違えの主な原因
- 枕の高さが合わずに、筋肉や関節に無理な負担がかかっている
- ストレートネックや頸椎後湾化、頭部下垂症などの疾患を持っている
- 枕やマットレスが低反発のもので、寝返り時に筋肉に負担がかかっている
- ノンレム睡眠時に身体が活発に動いている
- 歯ぎしりや無呼吸症候群などの睡眠の問題を抱えている
- 首や肩の筋緊張が強い
寝違えが及ぼす身体症状
- めまい
- 視覚の異常
- 吐き気
- 自律神経失調症
- 食いしばり
- 食欲不振
- 不眠
- QOLの低下
- 頭痛
寝違えは筋性や関節の歪みの様な比較的治療しやすい症状が多いですが、長期に渡ると様々な症状を引き起こす恐れがありますので、原因を特定し、早めに対処しなければなりません。しかしながら、施術院などで、効果を謡い、高価な枕やマットレスを購入させようとする輩も存在しますので、騙されないように、寝違えの本当の原因は何なのかを、きちんとした施術院で解明していく事が大切です。
寝違えに関与する主要組織
影響を及ぼす関節組織
- 環椎後頭関節
- 頸椎関節
- 顎関節
- 頭蓋骨縫合
- 胸椎関節
- 肩関節
- 肩甲上腕関節
寝違えに影響を及ぼす筋肉組織と神経組織
- 帽状腱膜(顔面神経)
- 肩甲挙筋(肩甲背神経)
- 後頭筋(顔面神経後耳介神経後頭枝)
- 側頭頭頂筋(顔面神経側頭枝)
- 咀嚼筋(下顎神経)
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)
- 後頭下筋群(後頭下神経)
- 大後頭神経と三叉神経
- 最長筋(脊髄神経後枝の外側枝)
- (半)棘筋(脊髄神経後枝の内側枝)
- 多裂筋(脊髄神経後枝の内側枝)
- 板状筋(頚神経後枝の外側枝)
- 僧帽筋(副神経、頚神経叢)
- 斜角筋(頚、腕神経叢)
- 肩甲挙筋(肩甲背神経)
- 胸鎖乳突筋(副神経、頚神経の枝)
寝違えはこのように多くの組織が関与しています。疾患自体は頚部の筋肉の緊張度合いが大きく関与していることが多いですが、やはり一番の問題は、その筋肉の緊張を高めてしまう枕やマットレスの高さや硬さであろうと思います。当院では物品の販売などはしておりませんが、タオルなどを使った、体に合った正しい高さの枕の作り方などの指導をさせて頂きます。
寝違えの改善治療
治療を行う前に重要な事
問診の重要性
問診で多くのことが分かってきますので、ご自身で関係ないと思われることも気兼ねなくお話し下さい。
鑑別診断の重要性
寝違えの改善治療例
しかしながら、患者様一人ひとりの状態が違いますので、すべての方にこのような検査、施術を行うわけではございません。あくまでも一例です。
僧帽筋や肩甲挙筋などの頚部筋による寝違えの治療
最長筋や板状筋の急激なストレッチ損傷での寝違えの治療
枕が高すぎるなどで、頭部が過度な屈曲位を強いられ、寝違えを起こす事もあります。このような場合は最長筋や板状筋などの筋肉の損傷が考えられます。このような場合は、筋肉だけでなく、脳を包む脳硬膜も緊張してしまいます。そのような場合は、オーストラリアのクレインハンスDCに教わった、後頭部の下部に接触して、硬膜や筋肉を緩めるテクニックを使います。繊細な指の感覚が必要なテクニックとなり、短期教育卒業者に出来るようなものではありません。
ストレートネックや頭部下垂症が起因の寝違えの治療
頭頚部の可動性にそもそも問題がある場合も、寝具の問題同様、何度も寝違えを繰り返してしまう事に繋がります。頚椎を正常な働きができる様に、一分節ずつ調整していきます。頭部下垂などがある場合は頸椎の調整だけでなく、頸部筋の活性化などの処置が必要となります。
最近はスマホやポータブルのゲーム機によって、頭部頸椎に問題を抱えている方が多く見られます。
頸椎の可動性を正常にする治療はきちんと整体力学に沿って適切に行いますので、危険はございません。
急激な回旋を加えるなどの施術は行いません。ご安心ください。