四十肩・五十肩の考察と改善方法
四十肩・五十肩と言いますと皆様も聞いたことがあるかと思います。
しかしながら、四十肩・五十肩という病名は、整形外科などで診察を受けた時に言われる病名で、いわゆる総称です。
何が言いたいかと言いますと、整形外科などでいわゆる四十肩・五十肩と診断を受けても、何が原因かを特定されていない場合が多いです。
レントゲン撮影を行い、変形性関節症や骨棘、筋内へのカルシウム沈着など、骨に異常が見られなければ、肩甲骨の筋肉の炎症である、腱板周囲炎でしょうと言われて、シップか痛み止めの注射をされて終わりで、大抵の整形外科ではそれ以上の追及は無いのではないでしょうか。仮に骨に問題が生じていても、特段何もしてもらえないと思います。そうゆう訴えの患者さんが多く来院されます。アイロン体操などの体操は教えてもらえますかね。
このような関節の問題においても、関節の可動性を改善させるマニピュレーションで大きな痛みの改善、生活の質の向上に寄与できると思います。
軟部組織の問題では、腱板周囲炎や機能障害を例に取りますと、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋、大円筋のどの筋肉の問題が起こっているのかを評価分析しなければなりません。外旋の運動が出来ないのか、外転が何度から出来ないのか等で、どの筋肉が障害されているのか等の分析が必要という事です。カイロプラクティックでは、治療の前段階で、筋関節の機能評価に力を注いでいます。当然、肩関節の機能障害、歪みに対応出来るのはカイロプラクティックが一番だと自負しております。
最近は、エコー検査で関節包の癒着などに着目し、水分を注入しその圧力で癒着を剥がすなどの治療もある様ですが、カイロプラクティックでも、筋肉への癒着除去テクニックや関節マニピュレーションによって、より安全に同様の効果を出す事が可能です。
四十肩・五十肩の主な原因
- 肩関節の変形によるもの
- 骨棘の発生によるもの
- 筋肉へのカルシウム沈着によるもの
- 腱板の断裂や癒着、炎症によるもの
- 頸椎、肩関節のサブラクセーション(歪み)によるもの
- 胸鎖関節・肩鎖関節のサブラクセーションによるもの
- 関節包の癒着によるもの
- 骨盤、腰椎のサブラクセーションによるもの
四十肩・五十肩が及ぼす身体症状
- 肩関節の可動制限
- 結帯動作や髪結い動作での痛み
- 痛みによる睡眠障害
- 自律神経失調症
- 生活の質の低下
- 食欲不振
四十肩・五十肩は筋肉の癒着様な比較的治療しやすい症状から発熱するような強い炎症を伴う骨棘やカルシウム沈着の様に難治性のものがありますので、鑑別診断が非常に大切になって来ます。しかしながら多くの四十肩・五十肩は治療により改善させることが可能です。
四十肩・五十肩に関与する主要組織
影響を及ぼす関節組織
- 肩甲上腕関節
- 頸椎関節
- 胸鎖関節
- 肩鎖関節
- 顎関節
- 骨盤
- 腰椎
影響を及ぼす筋肉組織と神経組織
- 僧帽筋(副神経、頚神経叢)
- 三角筋(腋窩神経)
- 棘上筋(肩甲上神経)
- 棘下筋(肩甲上神経)
- 肩甲挙筋(肩甲背神経)
- 大・小菱形筋(肩甲背神経)
- 前鋸筋(長胸神経)
- 小胸筋(内外側胸筋神経)
- 鎖骨下筋(鎖骨下神経)
- 大小胸筋(内外側胸筋神経)
- 広背筋(胸背神経)
- 上腕三頭筋(橈骨神経)
四十肩・五十肩はこのように多くの組織が関与しています。特に肩甲骨周りの筋肉が大きく関与していることが多く、癒着の除去などで大きな改善を見ることが出来ますが、関節の変形などが進んでいる場合は、治療にも時間がかかり、改善まであきらめずに来院頂くなどの、患者様の努力と協力も必要になってきます。
四十肩・五十肩の改善治療
治療を行う前に重要な事
問診の重要性
問診で多くのことが分かってきますので、ご自身で関係ないと思われることも気兼ねなくお話し下さい。
鑑別診断の重要性
四十肩・五十肩の改善治療例
しかしながら、患者様一人ひとりの状態が違いますので、すべての方にこのような検査、施術を行うわけではございません。あくまでも一例です。
四十肩・五十肩の改善方法
まず問診において症状を細かく把握し、どのような検査が必要か、どのあたりに原因がありそうか推察していきます。問診で多くのことが分かってきますので、ご自身で関係ないと思われることも気兼ねなくお話し下さい。
肩関節は肩甲骨の小さい関節窩に嵌る大きな骨頭で構成されていますので、関節自体は非常に不安定です。
さらに肩甲骨と鎖骨で構成される肩鎖関節をへて、胸骨と鎖骨で構成される胸鎖関節でのみ体幹と接着していますので、筋肉の支持に大きく頼り安定化をはかっております。
よって筋肉の傷害で大きな影響を受けることにもなりますし、胸鎖関節、肩鎖関節も一緒に診ていかなくてはなりません。
肩関節の疾患で有名なものに四十肩、五十肩と言われるものがありますが、一括りにそのように言われていても、様々な原因があります。
肩関節の変形、関節包の癒着、位置関係の変位、肩甲骨周りの筋肉の癒着、水か溜まるようなこともありますし、靭帯が石灰化するようなこともあり、千差万別です。位置関係の変位だけでもそれぞれ違います。
その他に肩関節脱臼、胸鎖関節、肩鎖関節の脱臼なども疾患の一つになります。
以下に肩関節の疾患における検査の概要、施術の一例などを列挙いたします。
しかしながら、皆様一人ひとりの状態が違いますので、すべての方にこのような検査、施術を行うわけではございません。あくまでも一例です。
肩関節の可動域のチェック、屈曲動作、伸展動作、外旋動作、内旋動作など、どの角度で痛みがあり、硬直があるかでどの部位、たとえば肩甲骨のどの筋肉の問題なのか、はたまた腰椎・骨盤が原因なのか把握できます。いわゆる四十肩、五十肩の検査です。
ローテーターカフ、腱板と呼ばれる肩甲骨と肩を繋いでいる小さい筋肉の状態を検査していきます。一つの筋肉の炎症や癒着が他の筋肉に広がる事も考えられ、とにかくどの筋肉が障害に関与しているのか、四十肩、五十肩の疾患は腱板と言われる筋肉の影響が大きい事が多いですので細かくチェックしていきます。
上記でも言いましたが、肩関節の可動域の最終領域では腰椎も関与してきますのでここでの制限の場合は方ではなく腰の疾患も疑い治療していきます。つまり腰部の施術も肩の改善のための施術ということになります。四十肩・五十肩は身体全体を診て治療を進めて行く事になります。
肩関節の前上部の癒着に対するテクニック
牽引をかけながら肩関節に前方から後方の圧力をかけていきます。
癒着を取り除くことで可動域に大きな改善が図れます。
肩関節の変位は、前方への逸脱が多くなってはいますが、後方変位で可動制限が生じている事もあります。その場合は、後方から前方への圧力をかけながら牽引治療を行っていきます。
腕を外に開く動きに制限がある場合のテクニック
肩関節の整体力学に沿うように外転の動きを付けて行きます。
関節包の癒着も取り除きながら肩鎖関節の施術も合わせて行い影響を及ぼし可動域を改善していきます。
このテクニックは仰臥位が基本ですが、座位でも行えます。
私は座位で、肩関節の癒着したところを見極めながら、回転運動を加えながら可動制限除去を行っていく事が多いです。
肩関節の最終可動域改善を図る腰椎テクニック
腰椎の位置関係が肩の可動域の最終領域に影響を及ぼします。腰椎の前彎が正常に機能していないと170度から180度の領域は肩関節に制限がかかりますので、腰椎の後方変位による可動の妨げを前下方に圧力をかけて取り除いています。
肩甲骨周りの筋肉(ローテータカフ)の癒着をとるテクニック
ニモテクニックという筋膜の癒着を取り除くテクニックで施術していきます。
上肢の痺れの症状も、この筋肉群に神経が阻害された結果起こることがございます。
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